がんばらない生き方ー心を休ませたいときに

近年ではうつ病や統合失調症などの神経疾患を抱える方、不眠の方が急増しています。

このような患者が増えている背景としては第一に、社会の変化によるストレスの増加が挙げられるでしょう。激しい出世競争や労働環境の厳しさ、人間関係の複雑さなどが心身に負担をかけ、精神的な健康に悪影響を及ぼしているのです。

ライフスタイルの変化も影響している要素の一つ。 例えば昼夜逆転など不規則な生活や、食生活の乱れ。運動や睡眠が不足していることなどが、心の健康を蝕んでいきます。

スマートフォンが普及してソーシャルメディアによる情報過多が起こっている反面、リアルでは社会的なつながりが減少していることも精神疾患の増加につながっていると考えられています。

一方で、昔と比べて精神疾患への偏見が少なからず減少したことや、精神保健リテラシーの向上によって精神の疾患に関する報告や診断が増えていることも事実。

「どんな仕事もバリバリこなしてすごい」と見える同僚も、実は密かに心の病気の治療中かも知れません。

うつ病は、『心の風邪』とも言われます。これは誰でもかかる可能性があり、特別な病気では無いことを意味しています。免疫が下がると風邪をひいてしまうように、大きなストレスは精神的な調子を崩してしまうのです。

精神疾患の一番の予防策としては、“頑張らないこと”。つらい時は、無理をする必要はないのです。「風邪っぽいな…」と感じたら早めに寝たり十分な栄養を取ったりするように、「キツイな…」と感じたら心を休ませてあげましょう。

なんだかダルいけど、心療内科に通うほどではない。眠れなくはないけど、寝つきが悪い。

心を休ませたいけれど、どうすれば良いかわからない。

そんなとき頼りになるのが、東洋医学の鍼灸治療です。経絡にあるツボを刺激し、心身の調整をしてくれます。気の流れを整え、ストレスによる症状を緩和してくれるでしょう。薬に頼らないナチュラルな方法で自然治癒力を高める東洋医学は、薬に比べて即効性こそやや欠けるものの根本からの改善が期待できます。

アメリカのジョージタウン大学の研究で、鍼が身体の正しい箇所に施されるとストレスホルモンの伝達が抑えられることが発見されました。これにより、鍼灸も薬と同様にストレスに対して作用することが証明されたと言えるでしょう。

鍼灸治療というと、肩こりや腰痛などの身体トラブルを真っ先に想像するのではないでしょうか?実はそれだけではなく、内科的な疾患に対しても効果的です。それは例えば頭痛・動悸・不眠・花粉症・下痢などですが、中でも有効なのが『不定愁訴』と呼ばれる『原因不明の不調』に対して。

鍼灸治療を行う一番のメリットは、ストレスにより発症している原因不明の不調も治療できること。この治療も並行してできるため、心も身体も同時に楽になります。

薬の服用と比較して身体への負担が少ないこともメリットですが、症状がひどい方は我慢せずに薬に頼ってOK。服薬中でも鍼灸治療を受けることは可能ですし、併用することでより症状を軽減させることも期待できるでしょう。

鍼灸での治療は、病気や症状に対して特定の経絡を選ぶものではありません。人間の体調は、日々変わるもの。その時の症状や体調に合わせて、全身の経絡を調整する必要があります。正確な治療方法や経絡の選定は、鍼灸師による診断と施術に任せましょう。

薬は対症療法に効果を発揮しますが、鍼灸治療は根本治療。生きていれば起こり得る、その時々の様々な不調とうまく付き合っていくために。薬に頼らない身体に優しい治療法として鍼灸治療を取り入れ、症状そのものを起こりにくくしながら付き合っていきたいですね。

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